2015年1月27日火曜日

14年8月の夏合宿(お盆山行)のこと


9月の頭にちょっと休みます、といって、お盆の山行でのハズの後ろ姿の写真を載せて一時休止していましたが、あの後のことを書いてみようと思います。

14年の夏合宿は、剱岳で岩登り。小屋もないところに衣食住&クライミングギア&お酒につまみ、と全てを担ぎあげ、ベースを拠点にあっちの岩場、こっちの岩場と毎日行ったり来たりを繰り返す。

天気が悪い夏でした。13日、あの写真を撮った日が唯一の晴れの日だったと言っても過言でないです。次に晴れたのが5日後くらいでしたから。

あの日登ったルートは、剱岳チンネ左稜線。ずっと登ってみたかったルートでした。天気も良く、私を入れて3人で朝5時に出発。長い長い長次郎谷の雪渓を登り、池ノ谷を下り、途中の、会長に教わった近道ルート(下りてみるとそうでもなかったかも、って感じのルートでしたが。いつものことですが。)を行く時の写真があれでした。

14年は大盛況で、私たちが行った時点で登っているパーティーが3組プラス5パーティ待ち組で最後に私ら。結局ルートを抜けるまでにトータル待ち時間4時間ほど?でしたかね。登りにかけた時間と同じくらい待ちました。

だんだんと夕暮れせまる中、最後のピッチのロープワークに少々焦りつつ、半分開き直りもあったけど、先を急ぐ。
この辺りで少し気になり始めたのがツェルトを持ってこなかったこと。そして長次郎谷の下り。19時半でした。ベースまでおそらく1時間もあれば下れるだろう。しかし、上部でぱかっと開いた雪渓と雪渓の間の大きなギャップ。夜になり気温も下がり雪渓が締まり、万が一滑ってしまったらあの数メートルの高さを落ちてしまうだろうなぁ、と考えながら下りだす。

と、10分もしないうちに下方から声が聞こえた。「救助の方ですかぁ?!」
わちゃー、誰か落ちたな。嫌な予感は当たった。落ちたのは3組ほど前を登っていたパーティの女性だった。
情けないことに、長次郎谷の傾斜には6本爪のアイゼンでは頼りない。ハズともう一人のメンバーが先にすたたと下りて行く。私は負傷者の傷の程度が軽度であることを願ってよちよち下りて行く。まさか、頭割れてないよな?まさか腕とか足がなんかありえない方向向いたりしてないよな?等々…。

到着したら、すでにハズが無線でベースにいる会長に連絡。ただ、この時点で負傷者のパートナーがベースに歩いて到着しており、彼らの山岳会のメンバー達が出動開始していた。半時間ちょっとして、負傷者の山岳会のメンバーにうちの会のメンバーと約10人到着。

結局、負傷者の山岳会のメンバーがその場で一夜を過ごすということになったので、私達はベースに戻ることになった。が、また6本爪のアイゼンだとよちよち下り。情けない…。

ベースに帰ったのは夜11時半前。この頃から剱沢に駐在している富山県警の山岳警備隊とも無線交信開始。(この交信も地形の関係でそう簡単なことではなかった。)こちらはといえば、この日入ってきた新人メンバーはすでに寝てて入山祝いをできなかった。一緒に入山してきた、経験メンバーの1人は夜通し運転、入山、ほろ酔い加減の時に出動となって一番しんどかったと思います。

私なりに思うことは、やはり暗くなってからの行動は控えるべきだと思う。もちろん、時と場合によるといえばよりますが。そしてツェルト。これは絶対に持っとくべきだった。自分達が一夜を過ごすにしても、負傷者をくるんであげれたらもう少し落ち着いたのではないかと思う。

しかし、困ったのは負傷者をどうしていいのか分からないこと。医療従事者ではないのでね〜。山をしてる人って結構、医療従事者が多いのですが、今回、現場に居合わせた人の中にはおらず、一番近い小屋に救助要請に走ってくれたとある人がそうだったので、無線で指示を仰いでましたが。
本人があまり話しできない状態で、頭を上げた方がいいのか下げた方がいいのか、上体を起こした方がいいのか寝かしたままの方がいいのか…。素人には全く分からない。どの程度の怪我なのか?見た目だけの怪我だけなのか、それとも内臓がどうにかなってるのかなど、見た目で判断できないですから。

そして翌朝。県警のヘリがあの狭い谷を飛んできた。その技術、テレビ、雑誌、書籍などで聞いていたけれど、実際に見るとすごい。前夜、出動したメンバーは大興奮。1回目は負傷者のいる真上まで行き、引き上げる装備を落として一旦、谷の外に出て待機する。15分後くらいに再度、今度は負傷者を引き上げるのに谷に入ってきた。が、この15分の間にガスが出て風が出始めていた。こんなちょっとした天候の変化に左右されるようで、まず、前進で入ってきたけれどなにかが駄目なようで、一旦引いて次は後ろ向きで飛んできた。ヘリの後ろ向きってすごい!でも、後ろ向きも駄目だったようで、最後に横向きで飛んできた。横向きもすごい!見たことない!!
結局、負傷者のところまで到達できずヘリは帰って行った。後で聞くと、昼前から大きなソリに負傷者を乗せて谷の一番下まで引いて下ろし、そこでヘリでピックアップされたらしい。(「らしい」というのは、私とハズはこの日に下山だったので最後まで見届けませんでした。)

怪我の程度も、数カ所の骨折だっただけですぐに快方に向かわれたとのことでよかったです。
でもほんと、怪我、事故しないようにしなくては、と思った登山歴10年目にして遭遇した事故の話でした。

この山行の写真のページはこちら